2022年7月28日

高齢者の熱中症対策

夏イメージ
年々猛暑日が増える日本の夏は、体調を崩しやすい季節といえます。
身体がだるく食欲が出ないなどの症状は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。
でも、年をとると暑さやのどの渇きなどを感じにくくなり、知らず知らずのうちに熱中症になっていることも。
今回は熱中症対策の要となる体温調整についてご紹介します。

なぜ年をとると暑さを感じにくくなるの?

それは、ずばり
体温を調整する機能が低下するからです。

人は年齢を重ねると、体の機能が衰えさまざまな変化が起こりますが、「体温を調整する」機能も、そのなかのひとつといえます。
体温調整を行うために必要な機能は3つあります。
それぞれの役割と、機能の変化が及ぼす影響について見ていきましょう。

1.汗をかく機能の低下

人は体温が高くなると、汗をかいて体温を調整しようとします。
ちなみに体重70kgの人の体温を1度下げるためには100mlの汗が必要とされています。
高齢者は、この「汗をかく」という働きが弱く、汗の量そのものも少なくなってしまうのです。
真夏でも汗をほとんどかいていない高齢者がいるのはこのためです。

また、体は高くなった体温を下げるために、汗をかくこと以外にも血液の流れる量を増やそうとします。
高齢者では、この血液の流れる量を調整する機能も衰えてしまうため、熱を体の外に逃がしにくいのです。

汗イメージ

対応策

高齢者がきちんと汗をかいているかこまめなチェックをしましょう。
汗をかいていたら、すぐに着替えてもらいましょう。

2.温度を感じる機能の低下

私たちは皮膚にある「温度センサー」によって気温の変化を感じています。
しかしこの機能が衰えてしまうと、寒さや暑さなどを自覚しにくくなります。
そのため真夏では、室温がかなり高くなっているにもかかわらず、高齢者の方は「そんなに暑くない。大丈夫」とお話される場合がよくあります。

温度イメージ

対応策

エアコンはドライにしましょう。
視覚でもチェックできるように、高齢者の寝室や、普段過ごす部屋に温度計を置いておくのもオススメです。

3.体内の水分量を保つ機能の低下

同じくらいの体重であっても、若い人にくらべると、高齢者は体内で保てる水分量が少なくなります。
体内の水分量を保つためにも、水分補給は欠かせませんが、高齢になると「のどが渇く」といった感覚も、感じにくくなってしまいます。

水分イメージ

対応策

こまめな水分補給を心がけましょう。
誤えん性肺炎に注意しましょう。
水分にとろみをつけると安心です。

今年の夏はここにも注意しよう!

今年の夏は新型コロナウイルスの影響で日中はマスクを着用することが多くなります。
マスクにより熱がこもりやすくなるので、屋外などで人と十分な距離が取れる場合には一時的にマスクを外し、熱のこもりを解消することが大切です。
また。マスクをしていると口元が潤う為に喉の渇きを感じにくくなることや、水を飲むのが億劫になることで水分補給が少なくなります。
喉の渇きを感じなくても意識的水分を取るよう心がけましょう。

水分イメージ

まとめ

老人イメージ
エアコンを入れる、水分をこまめにとるなどの働きかけを迷惑がる高齢者は少なくありません。
機能の低下による「感覚の違い」を理解し、感覚だけでなく視覚でも気温の高さを確認できるようにするなど、まずは高齢者の方に納得してもらえるような方法を試みましょう。
要介護の方にとってこの時期は厳しい季節です。
対策を徹底して、乗り切りましょう。